センター長ご挨拶

「つなぐ力」

ヒトは皆、顔も、考え方も、生き方も異なります。お子さんを望む方も、そうでない方もいらっしゃいます。

社会生活は年々、複雑・煩雑になり、何をするにも時間がかかります。そんな中、お子さんを望み、少しの時間を見つけては、不妊治療に通院なさる方が、福井県にも多くいらっしゃいます。

福井県の調査によると、体外受精や顕微授精を受ける患者さんの3割以上が、県外の施設へ通っておられました。

福井大学医学部附属病院・高度生殖医療センターは、地域のかかりつけ医と連携しながら、県内の不妊患者さんに、より高度な生殖医療を提供するために設立されました。

重症男性不妊に対する顕微鏡下精巣内精子採取術や、パルス型顕微授精システム、タイムラプス胚培養器といった生殖補助医療の充実に加えて、腹腔鏡・子宮鏡・卵管鏡など新たな手術システムも導入しています。

当センターは、せっかく妊娠したのに流産や死産を繰り返す、不育症の方にも対応しています。県内のがん診療拠点病院と連携して、がん治療の前に精子や卵子、胚の凍結保存が必要な、若いがん患者さんにも対応しています。一方で、不妊治療には限界がありますので、治療終結を見据えたセカンド・オピニオンも行っています。

若い男女が、妊娠・出産の正しい知識を得ることは、とても大事です。妊娠・出産に関する若者向けの動画「妊活カフェ Hello Baby ~いつかパパ・ママになるために~」を公開しています。

私たちは、福井県でお子さんを望んでいる方々に、様々なかたちで寄り添ってまいります。
当院は福井県の総合周産期母子医療センターとして、高度な産科・新生児医療を提供しています。妊娠・出産・育児をサポートする体制が整っています。

福井県で、家族や世代を「つなぐ力」が、より強固になることを願っています。

福井大学医学部附属病院・高度生殖医療センター

センター長 吉田好雄